上田安子服飾専門学校を卒業後、2019年にMOREへ入社。日々必死に学び・働いて、いつかは仕事はもちろん何より演者さんが過ごしやすい環境を作り出せる一流のスタイリストを目指し、日々邁進中。先読み力はピカイチな体育会系のおしゃれファイター。機転が利き、行動力抜群のスタイリングアシスタント。
広告とは〜スタイリストとして必要なスキルとは〜
興味を持たせる広告においてファッションとは
今回は、前回お話しした広告に重要なの興味を持たせること、についてもう少しファッションの観点で深掘りをさせていただこうとおもいます。
今日のテーマは
スタイリストとして広告で必要なスキルとは
です。
答えは、商品の魅力やコンセプトを鮮明に伝えるために全力を尽くす。シンプルですがこれだけです。
ではみなさんは普段テレビを見ている時に流れるCMで、誰がどんな服を着ていたか、色だけでも覚えているCMは何本程でしょうか。
pintarestより引用
カルピスだったら白か青かな、ガーナはいつも赤色?タクシー配送アプリのDiDiならアイコンと同じオレンジかな?
そんなふうに製品イメージや企業カラーの印象の強いCMはきっとみなさん覚えていると思います。
でもそこに、ディティールはほとんど覚えていない人が多いのではないでしょうか。
私もその1人です。
ではなぜ、スタイリストはそのようなコーディネートでCMに出したのでしょうか。
理由は簡単です、どんなに有名な女優でも、どんなに人気のアーティストでも、主役は商品であるからです。
当たり前にきこえるとおもいますが、商品を引き立たせる、商品の魅力やコンセプトを鮮明に伝えるために全力を尽くす、それな広告を目指すスタイリストに必要なスキルだと考えます。
たとえどんなに素敵なドレスを着ても、たくさんのジュエリーを身に纏っても、商品を連想させることができないものや商品の邪魔になるものは不要なんです。
じゃあ一般広告の服は目立たなければなんでもいいのか?なんて思わないでくださいね。
そんなわけはございません。
目は口ほどに物を言うと同じような物で、洋服というのは細かいディテールの一つ一つのこだわりで様々なことを消費者に印象付けることができます。
服の素材で表せるのは、どんな時にこの商品を使って欲しいのか、たとえばトレーナーなどゆったりとしたお洋服を着ているリラックスタイムの時なのか、少しハリのあるブラウスを着ている通勤時なのか、またはそのCM内の環境、気温や天気、季節などを表すのもファッションが大きく担っている部分ではないでしょうか。
記憶に鮮明に焼き付けるのではなく、演出という面でとても大きな役割を果たしているのですね。
わかりやすい例で言うと、このCMをご存知の方も多いかと思います。
NISSANの木村拓哉さんのCMです。
NISSAN HPより引用
ご覧いただけましたか?
すっごくかっこいい仕事のできる男性がバチっと決めたスーツにおしゃれなお家に住んで日産の車で出発する、男らしいエレガントさやスマートさ一言では言い表せないカッコ良さがここにはありますよね。
これをみた私の初めの感想は「こんな車乗ってるのかっこいいなあ〜なんだかいい車なんだろうな〜」なんて思ってしまいました。
つまり、この車はかっこいい人が乗るクルマだ。そう感じました。
その時点で私は日産の戦略にまんまとはまったと思います。
きっと日産もかっこいい人に乗ってもらいたくて木村拓哉さんを起用したんだとおもいます。
ファミリーカーならきっと木村拓哉さんより香取慎吾さんなど子供との関わり(慎吾ママなど印象深い方)を連想させる芸能人を起用するはずです。
では話を戻します。
なぜこのCMを見てかっこいい人が乗る車だ、そう思ったのか、簡単です、木村拓哉さんがかっこいいから。
なんていって仕舞えば元も子もないですよね。それだけではないんです。
もちろん木村拓哉さんはかっこいいんですが、
それに加えて、スーツのサイズ、シャツの襟、ネクタイ、チーフすべてが木村さんにぴったりのジャストサイズで、無駄やズレが一切ないスタイルになっているからなのですね。スーツは本来正装や礼服として扱われていた物なだけあり、少しの乱れで信頼感や清潔感を損なってしまいます。
ここで木村さんのネクタイが少しでもずれていたらどう感じるでしょうか、
それだけで木村拓哉さんが、だらしなく感じるはずです。
逆転の発想をしてみれば、もしネクタイを緩めて、ボタンを開けて、それがワイルドに見えたなら、また、車への印象が変わるでしょう。
それぐらい洋服の与える印象は多大なものがあります。
少しのずれが作品や商品、人など、全ての印象をガラッと変えてしまうこともあります。
逆に言うと全ての印象を変えることができるのです。
そのためにスタイリストはネクタイを用途によって結び方や柄を選び、
チーフの入れ方、何センチ出すかなど細かいところに目をやる必要があります。
無駄なシワはないか、すこでもズレているところはないか、そんなふうに探しながら日々向き合っていきます。
それがスタイリストとして「「商品の魅力やコンセプトを鮮明に伝えるために全力を尽くす」」ということなのです、
こんな話をしているとすごくCMを見るのが楽しみになりますよね。
洋服に目線を向けてみてみるといろんなことに気がつくはずです。
私も日々まだまだ研究中の身ではありますが、これからもっと多くのCMを見て気付きを増やしていきたいと思います!
最後までお読みいただきありがとうございました!